YI

ロジカルに考え、リリカルに語れ。

WHAT YOU GOT in LOST DECADE

2007-2017

失われた10年で得たものは。



瞬きの間に


建設現場は刻々と姿を変えるもので、その時にしか見られない。
何もないというのが在る、という状況は今しか見られない。

突き詰めると大体の風景に同じ時はない。
ただ、建設現場はその変化に劇的な影響を与えているはず。そうブルーシートを見て思った。

hachim.hateblo.jp

この景色は、ほんの僅かの間だけ。

虐殺器官について

映画、虐殺器官を見てきた。

ハーモニーを見る際に原作を読み返さなかった、という反省を踏まえて今回は原作を読んでから鑑賞に臨んだ。
yutaiguchi.hatenablog.com

率直に言うと、予想していたよりも良かった。

小説は小説の良さがあるとして、映像だけでしか表現できないことをやっていたのは良いと思う。
会話シーンでの光の演出などは、気づいてしまうと安易かもしれないが、映像でしか活きないものだと思う。
また、メカデザインやオルタナデザインは素直にカッコ良いと思えた。フライングシーウィードはかっこよい海苔になってたが、山根公利さんの仕事だろうか?オルタナ周りのデザインは安定の佐山善則さん。

表現の難しさからか、仕掛けやセリフ、個人の機微は削ぎ落とされており、特にクラヴィスの原点というものがゼロになっていた。
その結果、クラヴィスの私的な側面はルツィアに一任され、映画がエンタメ側に振れている形となった。

とは言え、それらが悪手だったとは自分は思わなかった。
この時代に即した、率直な断絶の果てを見ることができたと思う。

伊藤計劃の作品が未来を予想していたとは言わないが、現実への投影に耐えうる強度を持っているのだなと、再確認できる映画だった。

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

Brutal London

以前から気になっていた本で、ロンドンのブルータリスト建築を集めた本を買った。タイトルはBrutal London。

Brutal London: Construct Your Own Concrete Capital

Brutal London: Construct Your Own Concrete Capital

序文がノーマン・フォスターとかそういう点も気になるところではあるが、なによりブルータル建築のペーパークラフトが付いてくるのが見どころ。

手で切れる。

折って

組み立てるとブルータル建築が現れる。



このアレクサンドラ・ロード・エステート(Alexandra Road Estate)は映画「キングスマン」でエグジーが住んでいた集合住宅。ブルータリスト建築は同じ本に載ってるバルフロンタワー(BalfronTower)*1コルビュジェのユニテ・ダビタシオン(Unité d'Habitation)など、集合住宅と相性がいい気がする。


落書きも再現。


接着面が浮いてるのは見逃して欲しい。糊が家に無かったので。
赤いのは1/144のフル・フロンタル大佐で、それよりは小さいようだ。全部で9個の建築がペーパークラフトになっているが、スケールは書いていないしバラバラだ。

収録作品

  • Alexandra Road Estate
  • Alton Estate
  • Aylesbury Estate
  • Balfron Tower
  • Barbican Estate
  • Ledbury Estate
  • National Theatre
  • Robin Hood Gardens
  • Space House

ブルータル建築はル・コルビュジエ以降の、béton brut(ベトン・ブリュット)*2で作られた冷酷な建築だ。それを紙で作るとエッジなんかはよくわからなくなるが、テクスチャのクオリティはいいので雰囲気は掴める。意味のあるコンクリートは冷酷で強い。

本として惜しいのは図面が載ってないのと、写真が少ない点だ。建築の本としては致命的だが付録が主体みたいなものなので。

リンク先の記事でプレゼントもやっているようです。
www.dezeen.com

*1:Trellick Towerとも呼ばれるらしい

*2:フランス語で生コン

傍らのプロメテウス

<ゾーン>と呼ばれ、悲劇の地として世界に記憶されたチェルノブイリは、しかし秋ともなれば、そこらじゅうに生い茂って廃屋を呑む草木が紅葉し、鮮やかに色づく。晴れた日には、空が抜けるほど青く拡がる。太陽が燦々と降り注ぎ、木々にくっついたヤドリギ越しに木漏れ日が地上に落ちている。
AIと人類は共存できるか? 収録 吉上亮「塋域の偽聖者」より

 「塋域の偽聖者」で描かれるチェルノブイリ、プリピャチの風景は鮮明過ぎるほど思い浮かべることができる。それはチェルノブイリダークツーリズムガイドといった書籍や、CoD4 MWS.T.A.L.K.E.Rといったゲームで見た風景だからだ。
 特にチェルノブイリダークツーリズムで報告されている、「赤い森」、「文化宮殿<エネルギー作業員>」、完成間近の「新石棺」*1などの情報は物語を読む上で大きな場所性を与えてくれた。

 「塋域の偽聖者」は信仰の物語である。「神の火=原子力」を盗んだ人類が、贖罪のための新たな聖域を始めるまでの物語だ。本来なら日常から遠い「神の火」の物語を、触れてきた情報が近傍のものに感じさせてくれる。

 Nukarama Punk(ニュークラマ・パンク)と見なされるジャンルのゲームも流通している現代において、*2「神の火」にまつわる情報はおそらく増えている。日本においては、福島の影響は切り離せない。
 本来、インフラは人に近いものであるが、「神の火」の情報がここまで日常に迫ることを誰が予想できただろうか。すぐ隣にプロメテウスがいることを、見ないようにしてきただけかもしれないが。

 「塋域の偽聖者」はシンギュラリティが起きた以降、高次人工知能という人が自ら作った神をどう信仰するかが書かれている。10万年後に対する準備の、*3その顛末にも触れられている。その端緒、遠くない未来の答え合わせをいつかしてみたい。

AIと人類は共存できるか?

AIと人類は共存できるか?

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

4号炉・石棺

東京のシンボル

東京タワーが見えるときいつも、ああ東京にいるんだと強く感じてしまう。

東京タワーはビルがひしめく都市の中で不意に出会う。その絶妙なチラリズム故に、こいつ誘ってんのかとまで考えてしまう。いわゆる東京タワービッチ説である。
スカイツリーも見える範囲としては東京タワーを凌ぎ、所沢や千葉でも見えたりする。そういう意味ではビッチなのだが、どうも開けっぴろげすぎるし、サイズ感からリアリティが奪われる。

東京を記号で表す時、東京タワーになることは多い。大多数の人が東京の象徴は東京タワーと捉えているからだろう。
自分が最近見た範囲では東京タラレバ娘だ。
タラレバ娘では表紙、本編ともに東京タワーはしつこく出てくる。

東京タラレバ娘(1) (Kissコミックス)


1964年の東京オリンピック2020年東京オリンピックを関連付けている作品故か、はたまた主人公達の行動範囲故か、東京タワーはタラレバ娘が東京の物語であると強く印象づける記号として作用している。
2013年に33歳の女性には、スカイツリーではなく東京タワーが東京のシンボルとして捉えられているのだろうか。
スカイツリーも時々出てくるが扉絵のコラージュに使われている程度だ。

東京スカイツリーの冷遇は他にもある。
ギルティクラウンではスカイツリーテロ事件として台詞だけで片付けられ、欠片も出てこない。
作中で舞台となった、24区と呼ばれるミレニアムタワーみたいな(うろ覚え)構造物を際立たせるための処置かもしれないが、なかなか不遇だ。
Shadw of Tower


同じ破壊でも、数々の特撮作品で劇的に破壊された東京タワーとはかなり違いがある。
しかも最近の特撮、特命戦隊ゴーバスターズの映画で舞台に選ばれたのも東京タワーだった。


しかし東京スカイツリーにも可能性はある。
このMVでも東京タワーは多く登場し、その象徴性は揺るがない。スカイツリーは最後の一瞬。ただ、朝のスカイツリーには新しさが感じられる。

tofubeats / トーフビーツ -「朝が来るまで終わる事のないダンスを」


こうやって誰かが新しい象徴性を見つけ、表現することで、人々が持つ東京の捉え方は少しずつシフトしていくのだろうか。

特命戦隊ゴーバスターズ THE MOVIE 東京エネタワーを守れ! コンプリートパック [DVD]

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day one 2

day oneが新しくなった。
リリースから1週間は半額とのこと。

Day One 2 Journal + Notes

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  • Bloom Built, LLC
  • Lifestyle
  • $4.99

Day One 2 Journal + Notes

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dayoneapp.com

ひととおりiOSアプリを使ってみた。

2になって変わったところは、カレンダーがiPhone6sの画面でも最適化されていたり、
カレンダービューでもちゃんとスクロールができるようになっていたり、位置情報を使って記事の地図表示ができるようになっていたり、
タグを含めて色々とフィルタリングできるようになっていたり。evernoteのようにノートブックを複数作れるようにもなった。


1つの記事に写真を複数枚添付できるように。これは結構嬉しい。


日記の楽しいところは、見返すことだと思う。
day one 2では、記事を色々な視点から見返しやすくなっている。
たった1年前の日記なのに考えていることが全然違って、自分じゃないように思えたりする。

逆に共有機能は鳴りを潜め、publishが無くなっている。
使っている中ではpublish機能は見つけられなかった。
SNS等に共有する際はpublishになっていたものは、普通にテキストで共有するようになっている。
確かに使い道がわからなかったが、無くしてくるとは思わなかった。

ただ、完全消去というわけではなく、公式によるとその内実装するらしい。


あとは変な日記もあるので、ユーザーが死んだら消える機能とかが欲しい。