ゲンロン友の会同人誌ライブラリーとSFMウェブサイトについて
ゲンロン友の会の同人誌ライブラリに未来都市研究会(SFM)の本が所蔵されていました。
ゲンロン友の会同人誌ライブラリー | ゲンロン友の会
http://genron-tomonokai.com/wp/wp-content/uploads/2014/05/genron_doujinshi_20140708.pdf
「未来都市研究会vol.2.5 集成」が置いてあるようです。
最初にチェックした時は無かったような気がするのですが、見落としたのか後に追加されたのか。
ともあれ、ゲンロンカフェにお立ち寄りの際はぜひお手にとって見てください。
さて現在、未来都市研究会ではウェブサイトの構想を練っています。
私は今までウェブサイトを作ったことはありません。
しかしディレクションをしなければならないので、参考になりそうなサイトのチェックなんかを始めています。
これらのウェブサイトから、どういった意味と要素を参考にしようかと考えています。
始めてみると、ウェブサイト製作というのは何となく建築設計に似ているなと感じています。
デザインの手法というのは成果物に関わらず似てくるものなのかもしれません。
可蝕性を持った都市
もう結構前の話になってしまいますが、7月12日にジュンク堂池袋本店で行われた、田中浩也先生と藤村龍至先生のトークショーを見てきました。
まずは田中先生のお話から。バルセロナで行われた
FAB10 Barcelonaのお話をして頂きました。
参考に使用していたスライドは多分これ。
http://cba.mit.edu/events/11.08.FAB7/Tomas.pdf
FAB7の時の資料のようですね。
バルセロナのFabLabの現状と、日本でも広がっているFabLabの状況なんかも。
藤村先生は世論の可蝕化と物質性という言葉をタイトルにし、鶴ヶ島から今現在進行中である大宮プロジェクトまでを紹介していただきました。
かつての公共建築設計におけるワークショップは、幾ら関係者の意見を聞いても、結局「うるおい」や「やすらぎ」等の曖昧な言葉に集約され、意見が反映されたかわからない計画となります。
模型を使い、関係者の意見の集約と整理により、ブラックボックスになっていた公共空間の設計を、物質をもって示す。藤村先生のここ最近の活動はそういうことだと思います。
藤村先生は建築および建設業の可能性を信じており、建物を新しく作る方向でも、綺麗に撤退していく方向でも、その過程を私たちに手触りのあるものとして提示してくれています。
この国ではいつの間にか建設業は不信をもって見られるようになってしまっています。しかし、頭から何も信じないより、その技術を制御して一緒に何かを作っていく方が良いと考えます。
小さなものとしては、地元の工務店と共に街を整備し維持管理をしていくこと。
大きなものとしては、ゼネコンと共に交通インフラと直結し、集約した都市としての建築を作ること。
どちらも意見を即座に形にすることが求められると思います。
そこで活躍するのが3Dプリンタを始めとするフィジタルなデバイスだと思います。
田中先生は「作ってみた」だけでなく「使ってみた」がこれからのものづくりのサイクルを回すのだとおっしゃっていました。
都市もそうやって愛着の持てる形を自分たちで拵え、使ってみたときに、FabCityとまちラボから連なる未来都市の一つの姿が見えるのではないでしょうか。
事前に買っておいた本にサインをして頂きました。Kindleで買わなくて良かった。
- 作者: 田中浩也
- 出版社/メーカー: 講談社
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SFからSFへ
サイエンスフィクションからソーシャルファブリケーションへ。
田中浩也先生の本、SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)を読み終わりました。特に興味深かった事柄について。
・SF的想像力について
3Dプリンタで3Dプリンタを作る、自己増殖のプロジェクトが過分に表現されているのは、南極点のピアピア動画でしょう。田中先生も本の中で触れており、作者の野尻さんはDMM.MAKEでも連載を持っています。
DMM.make - ベアフット妄想拡張講座 0話「ストーリー指向のMaking(前篇)」
ピアピア動画の中では、工場が自動的に整備され、突然変異の蜘蛛が軌道エレベーターを作り、果ては宇宙からの知性体が自己増殖します。これら要素が一つの物語の終着に辿り着く流れは非常に心躍りました。ファブリケーションの意志は色々な作品に息づいていて、「SFを実現する」の中で取り上げられている作品はスタートレックやキテレツ大百科でした。私が思い出したのはBEATLESSに出てくるhIEのマリアージュが使用するデバイス、GOLD WEAVERです。八卦とアンティークミシンをモチーフにデザインされたこのデバイスは、設計図さえあれば何でも作る万能工場として機能すると表現されています。織物を編んでいくような製作過程とその万能感からは3Dプリンタの可能性の一つが見られます。
http://beatless.jp/gallery/pic/#g4
これら物語をフィクションで終わらせるのではなく、現実に顕現させることが次のSF、ソーシャルファブリケーションだと感じました。
・場所、建築、都市について
土着性が文化が立ち上がり、道具に影響を与えてきたということも興味深い事柄です。砂漠では太陽と砂を利用した3Dプリンタが実験されているのも面白い話でした。
建築と3Dプリンタは相性が良く、模型作成の場で活用されています。建築設計事務所のBIGではスタディ段階から積極的に3Dプリンタが利用され、大きな模型を作るために広いオフィスへ引っ越しています。
個の強みを最大限に活かし組織の“らしさ”を磨く [BIG] | ISSUES | WORKSIGHT
また、建材レベルの部品を生成する研究もされているようです。
都市の話では、スマートシティズンへの取り組みが興味深い話でした。都市の情報を可視化し、環境を最適化する。その可視化する手段は住民が自分で作る。市民そのものをスマートシティズンに成長させるプロセスです。都市に対して使用者してではなく参加者となって能動的に参加していくこと、そのプロセス自体に価値を生もうとしているとのことです。
その土地にあったデバイスを使用し、人々が能動的に建築を建て、創造力と共に都市が生成され最適化されていくーーソーシャルファブリケーションな未来都市はそんな形でしょうか。
他にも沢山の話が書かれていて、そのどの要素も未来を考えるに十分な材料となっています。そしてその未来が自分たちの手で創れそうな手触りを持った本でした。是非とも多くの人に読んでもらいたいです。
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Animation & UI 2
「新世紀エヴァンゲリオン」のエントリープラグの中や発令所に踊るディスプレイを見た時は衝撃でした。それまではアニメの中であそこまでデザインされたモニターグラフィックは見たことがなく、SFの中の映像と言えばスターウォーズのR2D2などの3D表示、ホログラフィックの表現の方が印象的でした。モニターグラフィックが印象的となったのは私の中ではエヴァンゲリオンが最初でした。
ディスプレイ表現とホログラフィック表現の間の子のようなものでは、「機動戦艦ナデシコ」が記憶に残っています。XYZ軸のうち、XZ軸だけを使った空中に浮かぶディスプレイがコミュニケーションツールとして、ところ狭しと飛び交っていました。
今、アニメの中のインタフェースは様々な表現があり、一方向にトレンドを決めるのは困難です。強いて挙げるとすれば、CGの使用が普通となったため、発光表現とディスプレイの中でもある程度の立体感をもった表現が多くなったかなということでしょうか。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 」に出てくる戦艦 AAAヴンダーの中のモニターグラフィックなどはその集大成と言ってもいいでしょう。
立体、平面に関わらず、ホログラフ表現も廃れてはいません。ただ、ナデシコほど脈絡なく飛び出したりはせず、コックピット内など、何らかの出力装置に起因していることが多いです。最近見た中ではソードアートオンラインが出力装置をスキップしてメニュー画面などを表示していましたが、これはVMMOだということで説明できます。
インタフェースという意味では、アニメの中のプロダクトデザインも物語と意味を持っていて面白いですね。
エヴァQの中にDSSチョーカーというものが出てきます。その制御装置は銃を模したものとなっていて、コマンド選択も弾丸の選択と装填を彷彿させるような動きのホログラフィックが見られます。
ボタンやタッチパネルではなくトリガーであったからこそ、命を奪うという行為という意味が連想しやすく、ミサトさんの躊躇いが理解しやすかったと思います。
「翠星のガルガンティア」ではマシンキャリバーのチェインバーとの通信端末が出てきます。これはコックピットにもパイロットスーツにも装着できるし、耳にもかけて使えるデザインで実際に有ったら欲しいと思うほどでした。
チェインバーの顔っぽい意匠があるのもかわいい。そして、チェインバーそのものに似ているからこそ、彼がいなくなった後の寂しさというものが一層増幅されます。
人工知能や知性体のインタフェースというものも、一定の傾向を掴むのは難しいと言えます。勇者シリーズのようにロボ自体が喋ったり、ガルガンティアのように端末を用意されていたり、マクロスプラスのシャロン・アップルやキャプテンアースのパックのようにサーバーの様なものが用意されている作品もあります。
同じ作品内で知性体がインタフェースを変化させた例もあります。「交響詩篇エウレカセブン」ではアーキタイプであるニルバーシュとジエンドは意思を持っていますが、特にツールは用意されず、喋りもしないので行動でしかその意図は読めませんでした。それはそれで燃えるし実際熱い展開もありました。しかし、続編の「エウレカセブンAO」では同じアーキタイプとなったトゥルースは饒舌に喋り、既存AIを流用したモニターグラフィックまで用意されるという変化を起こしています。
「機動戦士ガンダム00」においても、イノヴェイドのティエリアは肉体を持っていたり、情報だけであったり、小さなホログラフの擬似身体になったりと忙しく変化しました。
「知性体のインタフェース」は具体例の作品を挙げていくとキリがないカテゴリです。モニターグラフィックだけのもの、擬似的身体を持っているもの、人と触れ合える完全な身体や実体を持っているものなど種類は様々で、それぞれの意味をまだ類型的に整理できていませんし、これからできるとも言えません。ただ長谷敏司の小説「BEATLESS」における、身体があるからこそ、その振る舞いからアナログハックが生まれる、という考え方は一つの方向性ではあると思います。
前回のAnimation & UI - YIと同様に言葉の定義が怪しく、そして長くなってしまいましたが、これからも作品の中で趣向を凝らしたインタフェースが出てくることを楽しみにしています。
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未来都市フクシマ展
未来都市フクシマ展──廃墟と想像力(新津保建秀 藤村龍至 カオス*ラウンジ 他) | 222 | IMA ONLINE
東大で行われた未来都市フクシマ展を見に行きました。
福島観光地計画に関しての展示は以前にも見ていたので、今回見たかったのは隈研吾研究室の授業の成果です。
この授業には東浩紀氏も関わっていて興味深く追っていたのですが、どうやら日本の学生でこの授業を受ける人がいなくなり、最終的に留学生だけの授業になったそうです。
こちらで両氏が多分話されていると思います。【3/19収録】隈研吾×藤村龍至×東浩紀「建築は震災でなにをすべきだったのか ――福島第一原発観光地化計画が問いかけるもの」@ryuji_fujimura @hazuma - 2014/05/13 19:00開始 - ニコニコ生放送
この放送もコミュニティとマテリアルなど面白い話でした。
実際の作品を見てみると隈研吾氏の研究室ということで、「小さな建築」の思想が非常に大きいと感じました。モジュールを集めていたり、地形や海に沿っていたり、エントロピーがタイトルになっていたりと世界に対して負荷の少ない物語が並んでいました。
対照的に藤村龍至氏の福島ゲートビレッジは、丹下健三を参照しているだけあって一定の大きさを持っています。この違いは単に良し悪しの差を表しているのではなく、内包される物語の違いであり、ざっくり言ってしまうと求められる仕様の違いということでしょう。詳しい内容は福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2に載っていますが、ゲートビレッジは非常に多くのコンテンツを抱えています。
瓦礫と一緒になったツナミの塔のドローイングは存在感を増していました。
五月祭の喧騒を抜けた先で、静寂の中、この展示があったのが印象的でした。
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Day One (2)
Day Oneを使い始めて大体一年が経った。
Day One - YI
リマインダー機能で続けてるというより、綺麗に溜まっていく記録が見たくて続けている感じがする。
一方的にevernoteで共有している。綺麗に一方通行。
最近になってパブリッシュ機能がついたのだが、どう使ったもんかという状態。
Publish by Day One
相対性理論のときのえっちゃんの歌い方って今と結構違う。
さよなん2014セットリスト
とりあえず当たり障りのない内容。
SNSな要素は無に近いので、facebookの公開範囲で制御してもっとプライベートな感じに使うとか。
個人的にはpathと連携して欲しい。
あとWindowsでも書けるようにWebアプリとか作ってくれないですかね。職場で使いたい。
noteなんかも始まってテキストは公開する場所が広がってきてるのは面白い。
note ――つくる、つながる、とどける。
noteはスマートフォン向けアプリが欲しいかな。
空白の場所
仕事柄、よく展示会やシンポジウムなどに足を運ぶ。国際展示場こと東京ビッグサイトや幕張メッセなどだ。またどちらもその用途はビジネスに限らず、コンサートや即売会など文化的なイベントにも活用されている。
何のイベントも行われていない幕張メッセを見に行ったこともある。空白の場所と呼ぶに相応しい虚無が広がっていた。建築において、内包される空間は建築からは独立して存在し得ない。空間は何らかの目的を持ち、意味を生じさせ、建築を形作る。幕張メッセ、ビックサイトのような大ホールの空間に求められるのは空白という目的、器としての意味である。
リンク先ではそういった大きな空間について語られている。
なぜコミケはビッグサイトで行われるのか? ネットが変えた”場所”と”コミュニティ”の関係性 | ログミー[o_O]
ここで宇野氏はハレとケの対応としてリアルとウェブを挙げ、ウェブの繋がりと情報量の受け皿としてビッグサイト等の巨大なイベントスペースが必要と述べている。
同様の内容を、PLANETS vol.8に収録の
いま東京と東京論を問い直す ―首都機能から考える21世紀日本― (PLANETS SELECTION for Kindle)(門脇耕三, 中川大地, 速水健朗, 藤村龍至, 宇野常寛)内で宇野氏は述べている。サブカルチャーを夜の世界のコンテンツとみなし、文化を生む場所としての大空間、大バコの重要性が説かれている。
しかし、人口減少の時代に入り込んだ今、空白の場所は自動的に生まれていく*1。空白を求められた場所ではないのに、空っぽな景色が見えるようになる。人が少なくなった後、文化だって持続できるかはわからない。
もちろん施設として作られた空白と、打ち捨てられて生まれた空白は違う。ただ人がいないという空白の感覚は同じだろうと思う。
n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性はアニメにおける聖地巡礼についての本だが、場所に赴き交流することで、アニメやweb発のコンテンツとその場所にあるコンテンツの繋がりが創出できると書かれている。
そういった幸福な例は稀有であるとは思うし、多数の原理に押し潰されない場所性を持った場所も多くはないと思う。これから人が消えていくなら尚更だ。
人も文化も居なくなった後でも、何かが残り経験できる場所を作る。都市や建築が貢献できるのはそういうところだろうと思う。
n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性
- 作者: 岡本健
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*1:国土交通省は28日、少子化の影響で、全国で人が住んでいる地域のうち6割以上で、2050年には人口が半分以下に減るとの推計を発表した。2割の地域は住民がゼロになるとしている。(抜粋)(2014年3月29日08時36分 読売新聞)国交省資料(pdf) https://www.mlit.go.jp/common/001033672.pdf