虐殺器官について
映画、虐殺器官を見てきた。
ハーモニーを見る際に原作を読み返さなかった、という反省を踏まえて今回は原作を読んでから鑑賞に臨んだ。
yutaiguchi.hatenablog.com
率直に言うと、予想していたよりも良かった。
小説は小説の良さがあるとして、映像だけでしか表現できないことをやっていたのは良いと思う。
会話シーンでの光の演出などは、気づいてしまうと安易かもしれないが、映像でしか活きないものだと思う。
また、メカデザインやオルタナデザインは素直にカッコ良いと思えた。フライングシーウィードはかっこよい海苔になってたが、山根公利さんの仕事だろうか?オルタナ周りのデザインは安定の佐山善則さん。
表現の難しさからか、仕掛けやセリフ、個人の機微は削ぎ落とされており、特にクラヴィスの原点というものがゼロになっていた。
その結果、クラヴィスの私的な側面はルツィアに一任され、映画がエンタメ側に振れている形となった。
とは言え、それらが悪手だったとは自分は思わなかった。
この時代に即した、率直な断絶の果てを見ることができたと思う。
伊藤計劃の作品が未来を予想していたとは言わないが、現実への投影に耐えうる強度を持っているのだなと、再確認できる映画だった。
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