純粋なる空間として/Kolumba, Art Museum of the Archdiocese of Cologne
今現在の建築、建物と言うものは最早風雨を凌げれば良いものではなく、空調、多くの設備を内外問わず実装し、複雑な機械の塊とも言える。それを逆手にとり設備を意匠として成立させたものがポンピドゥーセンターであったりロイズ・オブ・ロンドンだっりするのだが、ピーター・ズントー設計の聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館/Kolumba, Art Museum of the Archdiocese of Cologne はその対極をゆくものだと感じた。
徹底的に設備は隠されており、私たちは集中して陰翳の中に佇む作品を見ることができる。普段私たちが触れる空間は複合的な意味を持っているが、コロンバ美術館においては、光を削り取って作ったような、只々純粋な空間が其処にあった。
美術館と宗教建築の遺跡という特殊なプログラムであったが、だからこそディテールに拘り、プログラムに没頭できるような建築であった。
このような建築には早々出会えるものではなく、プリツカー賞は伊達ではないと思った。美術館でこれなのだから、最近、併設されるホテルのコンペが終わったばかりの、ズントー設計のスイスのスパ「テルメ・ヴァルス」に行ったら幸福過ぎて死ぬかもしれない。いつか行ってみたい。
コロンバ美術館はケルン中央駅から南に歩いて10分ほど。カーニバルの時期に行ったので、祭りのパレードで近寄れない時もあったが、街が羽目を外してる時期を避ければ普通に平和なところです。
20150214-0221 Germany - an album on Flickr