可蝕性を持った都市
もう結構前の話になってしまいますが、7月12日にジュンク堂池袋本店で行われた、田中浩也先生と藤村龍至先生のトークショーを見てきました。
まずは田中先生のお話から。バルセロナで行われた
FAB10 Barcelonaのお話をして頂きました。
参考に使用していたスライドは多分これ。
http://cba.mit.edu/events/11.08.FAB7/Tomas.pdf
FAB7の時の資料のようですね。
バルセロナのFabLabの現状と、日本でも広がっているFabLabの状況なんかも。
藤村先生は世論の可蝕化と物質性という言葉をタイトルにし、鶴ヶ島から今現在進行中である大宮プロジェクトまでを紹介していただきました。
かつての公共建築設計におけるワークショップは、幾ら関係者の意見を聞いても、結局「うるおい」や「やすらぎ」等の曖昧な言葉に集約され、意見が反映されたかわからない計画となります。
模型を使い、関係者の意見の集約と整理により、ブラックボックスになっていた公共空間の設計を、物質をもって示す。藤村先生のここ最近の活動はそういうことだと思います。
藤村先生は建築および建設業の可能性を信じており、建物を新しく作る方向でも、綺麗に撤退していく方向でも、その過程を私たちに手触りのあるものとして提示してくれています。
この国ではいつの間にか建設業は不信をもって見られるようになってしまっています。しかし、頭から何も信じないより、その技術を制御して一緒に何かを作っていく方が良いと考えます。
小さなものとしては、地元の工務店と共に街を整備し維持管理をしていくこと。
大きなものとしては、ゼネコンと共に交通インフラと直結し、集約した都市としての建築を作ること。
どちらも意見を即座に形にすることが求められると思います。
そこで活躍するのが3Dプリンタを始めとするフィジタルなデバイスだと思います。
田中先生は「作ってみた」だけでなく「使ってみた」がこれからのものづくりのサイクルを回すのだとおっしゃっていました。
都市もそうやって愛着の持てる形を自分たちで拵え、使ってみたときに、FabCityとまちラボから連なる未来都市の一つの姿が見えるのではないでしょうか。
事前に買っておいた本にサインをして頂きました。Kindleで買わなくて良かった。
- 作者: 田中浩也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/06/27
- メディア: Kindle版
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