YI

ロジカルに考え、リリカルに語れ。

Animation & UI 2

 「新世紀エヴァンゲリオン」のエントリープラグの中や発令所に踊るディスプレイを見た時は衝撃でした。それまではアニメの中であそこまでデザインされたモニターグラフィックは見たことがなく、SFの中の映像と言えばスターウォーズR2D2などの3D表示、ホログラフィックの表現の方が印象的でした。モニターグラフィックが印象的となったのは私の中ではエヴァンゲリオンが最初でした。
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 ディスプレイ表現とホログラフィック表現の間の子のようなものでは、「機動戦艦ナデシコ」が記憶に残っています。XYZ軸のうち、XZ軸だけを使った空中に浮かぶディスプレイがコミュニケーションツールとして、ところ狭しと飛び交っていました。
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 今、アニメの中のインタフェースは様々な表現があり、一方向にトレンドを決めるのは困難です。強いて挙げるとすれば、CGの使用が普通となったため、発光表現とディスプレイの中でもある程度の立体感をもった表現が多くなったかなということでしょうか。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 」に出てくる戦艦 AAAヴンダーの中のモニターグラフィックなどはその集大成と言ってもいいでしょう。
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 立体、平面に関わらず、ホログラフ表現も廃れてはいません。ただ、ナデシコほど脈絡なく飛び出したりはせず、コックピット内など、何らかの出力装置に起因していることが多いです。最近見た中ではソードアートオンラインが出力装置をスキップしてメニュー画面などを表示していましたが、これはVMMOだということで説明できます。
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 インタフェースという意味では、アニメの中のプロダクトデザインも物語と意味を持っていて面白いですね。
 エヴァQの中にDSSチョーカーというものが出てきます。その制御装置は銃を模したものとなっていて、コマンド選択も弾丸の選択と装填を彷彿させるような動きのホログラフィックが見られます。
ボタンやタッチパネルではなくトリガーであったからこそ、命を奪うという行為という意味が連想しやすく、ミサトさんの躊躇いが理解しやすかったと思います。
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 「翠星のガルガンティア」ではマシンキャリバーのチェインバーとの通信端末が出てきます。これはコックピットにもパイロットスーツにも装着できるし、耳にもかけて使えるデザインで実際に有ったら欲しいと思うほどでした。
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 チェインバーの顔っぽい意匠があるのもかわいい。そして、チェインバーそのものに似ているからこそ、彼がいなくなった後の寂しさというものが一層増幅されます。
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 人工知能や知性体のインタフェースというものも、一定の傾向を掴むのは難しいと言えます。勇者シリーズのようにロボ自体が喋ったり、ガルガンティアのように端末を用意されていたり、マクロスプラスシャロン・アップルやキャプテンアースのパックのようにサーバーの様なものが用意されている作品もあります。
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 同じ作品内で知性体がインタフェースを変化させた例もあります。「交響詩篇エウレカセブン」ではアーキタイプであるニルバーシュとジエンドは意思を持っていますが、特にツールは用意されず、喋りもしないので行動でしかその意図は読めませんでした。それはそれで燃えるし実際熱い展開もありました。しかし、続編の「エウレカセブンAO」では同じアーキタイプとなったトゥルースは饒舌に喋り、既存AIを流用したモニターグラフィックまで用意されるという変化を起こしています。
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 「機動戦士ガンダム00」においても、イノヴェイドのティエリアは肉体を持っていたり、情報だけであったり、小さなホログラフの擬似身体になったりと忙しく変化しました。
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 「知性体のインタフェース」は具体例の作品を挙げていくとキリがないカテゴリです。モニターグラフィックだけのもの、擬似的身体を持っているもの、人と触れ合える完全な身体や実体を持っているものなど種類は様々で、それぞれの意味をまだ類型的に整理できていませんし、これからできるとも言えません。ただ長谷敏司の小説BEATLESSにおける、身体があるからこそ、その振る舞いからアナログハックが生まれる、という考え方は一つの方向性ではあると思います。

 前回のAnimation & UI - YIと同様に言葉の定義が怪しく、そして長くなってしまいましたが、これからも作品の中で趣向を凝らしたインタフェースが出てくることを楽しみにしています。

エウレカセブンAO 1 (初回限定版) [Blu-ray]

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BEATLESS

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