YI

ロジカルに考え、リリカルに語れ。

祝祭

 六本木ヒルズのあの蜘蛛の下で、久しぶりに待ち合わせをした。仮設のクリスマスツリーの下で写真を撮る人々、オリンピック仕様にライトアップされた東京タワーなど、森タワーの前の広場は祝祭的な雰囲気に満ち溢れていた。

 こうした広場空間は、再開発等促進区、高度利用地区、総合設計制度などの法律により、都内では建物に付随する公共空間として一定数整備されてきている。教会を中心としたヨーロッパの街の広場や、祭りが行われてきた神社の境内とも違う、純粋な空間としての広場と受けとれる。

 六本木に現れたハレの場には教会も神社も無かった。神がいない空間で、人々はただ祝祭を楽しんでいる。何のイデオロギーも無い公共空間というのは、人々にそれぞれの祝祭を提供できる。多様な喜びを受け入れる事ができるからだ。

 僕らはメリークリスマスを言い忘れたけれど、神がいない空間で神を祝福しても仕方が無いと、心のどこかで気づいていたのかもしれない。それとも単純に、祝祭を楽しむのに夢中だっただけかもしれない。