YI

ロジカルに考え、リリカルに語れ。

屍者の帝国について

劇場版屍者の帝国について。
序盤なんかは面白いは面白いのだけれど、どうにも二次創作感が拭えない。一般向けにしようとする努力は認めるが、中途半端に終わっていた。原作を読み直さずにうろ覚えで見てしまったため、後半は混乱しながら見ていた。

良かった点としては


花澤香菜さん含め、声優さんの演技はとても良かったです。

フライデーの設定改変は物語の導入部では良い役割を果たしていたが、最後は足枷となっていた。言語が記録となり、記録が記憶となり、記憶が魂となる。フライデーとワトソンの関係が希薄であるからこそ旅路が意味を持ち、魂のありかが明確となる。
フライデーが生前の友人ということで、ワトソンがかつてあった魂を追い求めるような構図になってしまったことで、言語から魂は成り立つという面白さが薄くなってしまった事は否めない。

ワトソンとフライデー、円城塔伊藤計劃、この関係の二重性については
屍者たちの帝国の後記でも大森望が記している。

この二人の関係性は、長編版『屍者の帝国』のフライデーとワトソンの関係におそらく(微妙なかたちで)反映しているし、劇場アニメ版では、生前のフライデーがワトソンの盟友だったという設定変更により、正面から両者の友情をテーマに据え、それが伊藤計劃円城塔の関係に重なって見えるという二重構造になっている Read more at location 4407

このようにフライデーの設定改変は、円城塔伊藤計劃の関係を楽しめるし、物語の間口を広く取れるという事で、劇場版というメディアには合っているとは思うが、やはり魂のありかという要素を楽しめるのは原作だろう。

個人的に屍者の帝国で凄く好きなアイデアはフライデーが女王陛下の所有物であるということ。
それは伊藤計劃のOn Her Majesty's Secret PropertyとFrom the Nothing, With Loveに繋がるもので、フライデーのナンバーが007というだけで痺れる。
結局言いたいことは伊藤計劃のアイデアをここまで繋げてくる円城塔凄い、というところに収束する。

The Indifference Engine

The Indifference Engine


前述の屍者たちの帝国はかなり面白かった。

屍者の帝国とロシア宇宙主義、ハーモニーイスラム神秘主義など、作品と思想の繋がりが見える物語があったのが面白かった。

ともかく、虐殺器官はどうなるんでしょうか。

参考にした感想。d.hatena.ne.jp

はてなブロガーに聞いた、おすすめのUI/UX入門書に寄稿しました

nanapi.jp

はてなブロガーに聞いた、おすすめのUI/UX入門書 | nanapi [ナナピ]

アンケート取材に回答しました。

2015/08/31 15:25

もう2か月も前ですが、アンケート取材に回答したものが記事になっています。

他の方が紹介している本も面白そうです。

ドボクの本

八馬先生の欧州ドボク本が出ました。即買いです。

ヨーロッパのドボクを見に行こう

ヨーロッパのドボクを見に行こう

hachim.hateblo.jp

フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイスの土木が紹介されていてモデルコースまで載っているので旅行本として最高に良い。

切手モチーフの表紙やチケットモチーフのモデルコースページなど、デザインが可愛い。
欧州ドボク本モデルコースページflic.kr

ドイツは自分が今年行ったところも載っていたけれど、写真が全然違った。太陽光があるだけで見違える。
HASH(0x8078c48)flic.kr

自分が行った時は曇天だったランドシャフトパークとツォルフェアイン。曇りでも、それはそれで退廃的な魅力があるけれど。

yutaiguchi.hatenablog.com

yutaiguchi.hatenablog.com


読んでいると旅に出たくなる。

心と体

 fitbitのリストバンド活動量計を少し使う機会が出来たので。

 心拍計付きのCharge HRを使用。活動量データはスマートフォンアプリ経由でアップロード。Webで確認できる。www.fitbit.com

 正確性は流石に胸の付近で計測するものと比べると落ちると考えられ、おそらくある程度ダミーの数字をかましている。
 本体のディスプレイ表示はボタンを押すか、本体を叩かないと表示されない。代わりと言ってはなんだが、時計及び音楽プレイヤーコントロール機能付きのsurgeが年内に出るそう。

IMGP6202flic.kr
 使用中、個人的に心が痛むことが少々あったが、特に心拍数に影響はなかった。逆に少し歩いただけで心拍数
は脂肪燃焼ゾーンに到達したので、やはり体のことは体なんだなと。単に代謝が良いだけかもしれないが。

 他にもEPSONの心拍数計測技術を使ったものも試したが、こちらは心拍から心の状態を予測していた。面白い試みではあるが、そのアルゴリズムブラックボックスの中で、心拍数すら取り出すAPIが存在しない。fitbitの方が自由度が高く、発想と使用方法によっては、より確かに心の状態が掴めるかもしれない。

 計測したデータを見ていると結構楽しいもので、自分の生活が定量化され、可視化されると、もっと見たいという新しい欲望が顔を出す。欲望は生活に影響を与え、世界の見え方を変えるものとなる。

 これから定量化されるものは、きっと体から心に移行する。心の状態を定量化するのは、茫としたもので「定量」と言えるものにはすぐにはならないだろう。しかし、曖昧なものを曖昧なまま利用する術はあると思われる。

別の時空間から投影された、透明でとぎれとぎれの、わたしたち自身のホログラム。

wired.jp

 定量化できるものが増えると、投影されるホログラムのわたしたちも変わっていく。その時、対するわたしたちの心も変わっていくのだろう。こういう想像はいつだって楽しい。

1週間程の使用だが、こういったウェアラブルデバイスを使っていると、やっぱりAppleWatchも使ってみたくなる。

透明な東京

TRANSPARENT TOKYO
NIGHT WALKflic.kr


透明な東京の物語を掘り起こす。

見えないけれど、そこにある。

その特色のなさは芸術的なほどで、ステルス戦闘機と同じくらい目に映らない。*1

アースダイバー

アースダイバー

S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ (ちくま学芸文庫)

S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ (ちくま学芸文庫)



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*1:レム・コールハース「S,M,L,XL」ピクセル東京より

Stack/silodam and the other architecture in amsterdam

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アムステルダムで見たかった建築の一つ、MVRDV設計のsilodam。
運河上に建つ集合住宅で、住宅機能の他、オフィスやコミュニティスペースなどがスタックされている。外壁からそれぞれの空間が何処にあるかが一目瞭然だったりする。
スタック、積み重ねはMVRDVの設計手法の1つで、KM3

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窓も機能に合わせてそれぞれ違っている。


街を歩いたり運河巡りをしていると、他にもダッチデザイン、アムステルダムの建築は見ていて面白いものが多かった。


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切れ目が走りズレるビル。

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これもMVRDV。ズレて乗っかっているボリューム。

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ズレてるんだか浮いてるんだか。

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自転車置き場。

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黒川紀章設計、ゴッホ美術館新館。改装中で見れず。

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建築ではないがCAR2GO。電気自動車用の充電ポートが街の各所に配置されている。

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国立美術館内でフェルメールを見る人達。

アムステルダムに関しては八馬先生のブログで色々と勉強してから行った。
だけども今回行けたのは基本のキみたいなもので、見落としたものを見るためにまた訪れたい。

MVRDVの有名なやつとかhachim.hateblo.jp

Kraanspoor見たかったが、開発された湾岸地区の方は行けなかった。hachim.hateblo.jp

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定番のI AM STERDAM。後ろは国立美術館

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スケートリンク。補助具なのか遊びなのか滑る時に椅子を使っている人がちらほら。

www.flickr.com

Conversion/Zollverein Coal Mine Industrial Complex in Essen

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エムシャ―パーク事業*1の1つ、ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群/Zollverein Coal Mine Industrial Complex 。世界遺産にも指定されている。

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中枢施設のツォルフェアアイン博物館。炭鉱施設から博物館へのコンバージョンはOMAが設計を担当。スタックされた展示プログラムは炭鉱施設と相性がよく、滞り無く展示を見ることができる。OMAのプログラムをボリュームに変換しスタックする手法は、シアトル公共図書館などで使われたものだ。これが大胆かつわかりやすくかっこいい。
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シーケンスを担う内部階段はオレンジ色に光っている。熱と繋がりを想起させるデザイン。

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博物館の屋上から。レッドドットデザインミュージアムとSANAAの手がけた白い箱、ツォルフェアアイン・スクールが見える。スクールは閉鎖されたのかと思っていたが、デザイン専攻の学生が集まらず使われてないだけらしい。

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ツォルフェアアインでは複数の炭鉱施設を周ることができる。マスタープランを博物館と同様にOMAが手がけている。
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謎の重機などもある。

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ランドシャフトパークと違い、施設をそのまま残すのではなく、形を活かし積極的に博物館や美術館にコンバージョンが行われている。

欧州では大規模工業施設のコンバージョンが多い印象がある。ロンドンのテートモダンも発電所からのコンバージョンでヘルツォーク&ド・ムーロンの設計だ。日本では大規模な工業施設からのコンバージョンは余り見られないが、近代建築の外形などを意匠として残していたりはしている。神戸の旧居留地や東京の丸の内などはそういうものは多い。完全に余談だが上野の国際子ども図書館安藤忠雄がコンバージョンを手がけていて、エントランスはガラスの箱が古い建物に刺さっているように見える。安藤忠雄はテートモダンのコンペに発電所部分にガラスの箱を刺した案を提出していて、それのリベンジかなと個人的に思っている。

ツォルフェアアインにはエッセンの駅から107番のトラム。ツォルフェアアイン入り口の前にトラムが止まる。www.zollverein.de

*1:公式Webにエムシャ―パークのロゴがあったので多分そうだろう